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Home > コラム > 第23回 カビ臭バナナ発見!- おいしいバナナって何?
第23回
カビ臭バナナ発見!- おいしいバナナって何?
「おいしいバナナとは」いったい何なのか、バナナの場合には食べごろも含めて難しい問題です。
いつも宅配で買っているバナナを1週間かけて毎朝1本食べていますが、始めは青臭く若い味がして、食べ頃だと思っているうちに最後は熟しすぎてあまりおいしくなくなってしまいます。 時々、宅配のバナナが手に入らない時に、近くのスーパーで買ってくるバナナがあります。 このバナナを食べる時は、いつもおいしくないと感じつつも、せっかく買ってきたからと最後まで食べています。 ただ、バナナから薬品臭の様なあるいはカビ臭の様なにおいが感じられるのです。
ひょっとしたら世界最強の異臭物質である 2,4,6-トリクロロアニソール (2,4,6-TCA) のカビ臭がこのバナナをまずくしているのでは?と思いつつ、体の為にと毎朝1本食べていました。

近所のスーパーでは、このカビ臭バナナしか売っていなかったのですが、別のスーパーには写真1の様にフィリピン産の異なったメーカーのバナナが販売されていました。 全種類の臭いを嗅ぐと、なんと近くのスーパーで売っていた特定のメーカーのバナナだけから強いカビ臭が感じられではありませんか!
さっそく、いつもの様にGC-MSで分析することにしました。
分析結果は、図1に示しました。
写真1
スーパーで販売されているフィリピン産バナナ

図1. カビ臭バナナのGC-MS分析結果
図1. カビ臭バナナのGC-MS分析結果

残念ながら、予想通り世界最強の異臭物質である 2,4,6-TCA が検出されました。
飲料や食品では必ず異臭クレームになるカビ臭が、どうしてバナナで問題にならないのか不思議です。

宅配で買っているバナナは、カビ臭は無いのですが、ポストハーベスト処理がされていないので、バナナから自然と(菌の作用等で)発生するヨーグルトの様な、あるいは足の裏の様なにおいと表現される酪酸臭が感じられます。 酪酸臭とカビ臭どちらが異臭か難しい問題です。 しかし、ただ一つ言えるのは、2,4,6-TCAのカビ臭は、全ての飲料・全ての食品で異臭クレームを引き起こす物質です。 どちらがおいしいバナナかと問われれば、やはりカビ臭のないバナナがおいしいと答えざるをえないでしょう。

効率よく植物を栽培するために農薬は必要だと思います。 また、フィリピンから日本の消費者に届けられるまでには時間がかかります。 日持ちするためにポストハーベストや塩素水による洗浄も必要でしょう。 しかし、それらの薬液やその分解生成物が残留し、人の健康には影響が無いかもしれませんが、臭いが残り食べ物をまずくすることだけは無いようにしてもらいたいものです。

農薬に対する食品中の残留基準は、厚生労働大臣の定める一律基準では0.01ppm(10ppb)です。
しかし、ヒトがまずいと感じる2,4,6-TCAの食品中の閾値はこのなんと千分の一の10pptです!
(2012年3月) 
 
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