Home > コラム > 第3回 第二の日本酒発売?

第3回
第二の日本酒発売?


「合成酒」 というものが、今も細々と流通しているのをご存知でしょうか。 今や、ビールよりも発泡酒や第三のビールが幅を利かせている時代に、合成酒はその名前故に虐げられているのならば、すこしかわいそうな気がします。 (合成酒…いかにも化学薬品から合成されているような感じがします。しかし、全く安全なお酒です。)

合成という名前をつける必要があるのであれば、発泡酒も第三のビールも合成ビールでなければならないし、100%ジュース以外は全て合成果汁。 その他、合成炭酸飲料、合成緑茶、合成ウーロンチャ…。 身の回りを見ると今日我々が無意識に口にしている食品や飲料のかなりの物が人の手によって加工されたもの、つまり合成食品や合成飲料になっています。

オレンジジュースがコーラ飲料にかわっていったように、近い将来ビールよりも発泡酒や第三のビールの方が味で好まれて飲まれる様になるかもしれません。 第三のビールが好まれるのは、値段の問題だけではなく、苦くなくて飲みやすいという事もあると思います。 カニ棒も本物よりも人気がありますし(海外ではヘルシーフードとして人気のようです。)、ワインにも第二や第三のワインが出るかもしれません。

さて、本物と合成では何が違うのか、本物と全く見分けのつかない合成ワインを作ることは可能でしょうか?

基本的には「可能」でしょう。 作った人はもちろん判りますが、それ以外の人が本物と合成ワインの区別ができなければ、それは本物と同じ合成ワインという事になってしまいます。 ソムリエが同じだと言えば同じですが、科学的ではありません。 本物を化学分析して、匂い成分も同じ、味の成分も全て同じだと、この合成ワインは本物だと言うことになってしまいます。 分析の技術が向上し、ゲノムの様にワインの成分が全て解明されると、本物と合成の区別がつかなくなる様な偽物ワインが作れてしまうのです。

本物のワインと区別がつかなくなるまで同じ物を作るのは、現在の技術ではまだできないかもしれません。 これができるようになれば、一歩進んで、もっと飲みやすくて、体に良く、悪酔いしない合成(第二の)ワインもつくれるようになるでしょう。 日本人としては合成ワインに取り組む前に、分析の技術を駆使し、長年親しまれてきた日本酒を現代風にアレンジして、現代人にマッチした合成酒を作ってみたい。 良いものができた時は‘合成’の名前は何がなんでも外してらわないと。 第二の日本酒とでも命名しましょうか。


(2006年8月)