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第18回
新品の洗濯機からクレゾール臭(獣臭)?



以前使っていた洗濯機(A60XP)が、またコントローラーの調子が悪くなり(4年前にも調子が悪くなりコントローラーを交換)、スイッチをいれても直ぐに電源が切れるようになりました。 ステンレス槽の裏側の臭いも気になっていたので、思い切って穴なしの洗濯機(写真1)を購入しました。 電気店で展示されている製品の臭いを確認して、OKだったので購入したのですが、新しく来た製品からは、残念ながらクレゾール臭(けもの臭)が感じられました。


「壊さないでよ!」の声を背中に、いつもの癖で臭いの元を調べることにしました。 洗濯槽に顔を突っ込んで、パルセータの臭いを嗅ぎましたが異臭は感じられません。 ステンレス槽の裏側からも臭いは感じられません。 洗濯機の下側からも臭いは感じられなかったので、モーターやベルトが原因ではなさそうです。


A60XPの基板は、強烈なジブロモフェノールの消毒臭(コラム:電化製品から消毒臭)でした。 今回は臭いの質が違うが、コントロールパネルの基板が原因か? ネジを4本外して臭いを嗅いだところ、案の定基板(写真2)が原因であることを鼻で特定することができました。


洗濯機の基板は、防水の為か透明な樹脂で埋め込まれています。 樹脂の一部を削り取り(写真3)臭いを嗅ぐと強烈なクレゾール臭が感じられたので、分析することにしました。 分析は、以前コラム(コラム:目薬からカビ臭)で紹介した、ヘッドスペースGC-MSで行いました。




GC-MSの分析で得られた結果は、図1に示しました。 この結果から、クレゾール類が異臭の原因物質であることが判明しました。 臭いの質から m-クレゾールp-クレゾール が今回の異臭を特徴付けている様です。 これもコラム(コラム:クレゾール臭による異臭が心を込めた食べ物をまずくする)で紹介したように、基板のフェノール樹脂が原因です。



「新品」の臭いに感動する時代は既に終わりました。
コストの関係で難しいかも知れませんが、もう少し臭いにも気を配ってほしいものです。
(2011年12月)