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椎茸の香り成分として、レンチオニン(ペンタチエパン)が1966年に、武田薬品工業の研究者達によって初めて発見されました。 なぜ武田薬品工業が発見したのか? 実は、当時武田薬品工業は「いの一番」という旨味調味料を製造しており、この製品に椎茸の旨味成分であるグアニル酸が入っていました。
研究者たちは椎茸の旨味の研究が終わり、続いて香りということで発見に至ったものと推定されます。(「いの一番」は現在でもキリン協和フーズが製造販売を行っているようです。
旨味成分は、昆布のグルタミン酸と鰹のイノシン酸それと椎茸のグアニル酸が配合されているようです。) |
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人の食品に対する好き嫌いは、先ずは臭いによって決定されているといって間違いありません。 例えば、ヨーグルトがダメだとか、チーズがダメな人の場合は酪酸の臭いが許せないことで決定されていることになります。 ニンニクも好みの分かれる食品で、この場合にはニンニクの香り成分である硫黄化合物のアリルスルフィド類の臭いが許せるかどうかで決定されていることになります。
さて、それでは椎茸の場合はどうなのでしょうか? 椎茸の香り物質として知られているレンチオニンは試薬として販売されていないので、干し椎茸を水で戻して、生成した臭い成分を溶剤で抽出し、臭い嗅ぎGCとGC-MSで分析することにしました。 今回臭い嗅ぎGCで、臭いを嗅いでもらった人は、椎茸嫌いを自負する男性です。
分析の結果は図1に示しました。
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図1. 干し椎茸の香り成分の分析結果 |
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椎茸嫌いの男性は、レンチオニンよりもテトラチアンやテトラチオランがより椎茸臭いと感じているようです。 私は椎茸嫌いではありませんが、やはりレンチオニンよりもテトラチアンやテトラチオランのほうが椎茸臭いと感じました。 これらの臭いを許せない人達が椎茸嫌いだと考えられます。 ただ、高沸点のレンチオニンはそんなに椎茸臭いと感じていない様です。
昔は、旨味と言えば味覚成分であるアミノ酸類のみを議論していたようです。 しかし、実は、香り成分も旨味に大変重要であることが知られるようになりました。
図2に、ニンニクのタレ2種類の香り成分の分析結果を示しましたが、高沸点のニンニクの香り成分であるアリルトリスルフィド等が多いと、コクがあり美味しいという評価が得られています。
椎茸の旨味に関しても、レンチオニン等の硫黄化合物が重要な役割を果たしている可能性がある様です。
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図2. ニンニクの香り成分の分析結果 |
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今回は、椎茸やニンニクの香り成分を解説しましたが、この解説を機に椎茸嫌いが減ることを願ってやみません。 |
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(2012年2月) |
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