我が家では、特にメーカーなどにはこだわらず、
100m巻きの比較的安価な食品用ラップフィルムを購入して使用しています。
今回初めて購入したメーカーのラップで、足の裏や納豆を思わせる酸臭が感じられるということで
早速その原因を調べることにしました。
このラップも、最近まで異臭は感じられなかったのですが、よく見るともう残りが僅かになっていて(写真1)、
ボール紙の芯のにおいを嗅ぐと強い足の裏の臭いが感じられました。
ということで、異臭の原因は、このボール紙の芯であることが推測されました。
ラップが残り僅かになったので、ボール紙の臭いをたっぷり吸った部分を使い始めたために、
異臭に気付いたということが分りました。さっそく分析です。
推定される異臭原因物質は、酪酸やイソ吉草酸です。
ボール紙の芯を細かく切り、バイアル瓶に入れ(写真2)、
リン酸水で酸性にしてSPMEで臭気を捕集し、GC-MSで分析しました。 分
析結果は、図1の様に、推定通り酪酸や吉草酸が検出されました。
第9回のコラムでは、イソ吉草酸やn-吉草酸は検出されませんでしたが、今回のサンプルではしっかりと検出されました。
プラスチックによる海洋汚染の問題で、
今後ストローやコップお皿そして食品容器などに、紙製品が使われる機会が増えるものと思われます。
紙製品の広がりを止めないためにも、異臭のない製品の供給を願ってやみません。
最後に、異臭の発生原因ですが、製紙工場にはパルプを溶解するプールのようなタンクやパルプを送る配管があります。この溶解タンクや配管に菌が繁殖すると、今回検出された様な異臭物質が生成することが知られています。
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