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第39回
プロバイオティクスは効くのか? -口臭と歯周病-


数年前の話ですが、いつもの凝り性が高じて、口臭と歯周病菌の撲滅作戦を実践しようと自らの口で実験しました。 先ずは、口臭の測定です。SPMEで口腔内の臭気を吸着しGC-MSで分析しました。(図1)。 口臭の原因物質であるインドールが、人によっては全く検出されない例もあります。 また、起床後にインドールの量が一番多くなることも分かりました。

では、口臭と歯周病対策です。 ここで目を付けたのが、最近流行りのプロバイオティクスです。 口腔内の菌のフローラを制御すれば、乳幼児の様に、虫歯や歯周病と無縁の生活ができるという触れ込みです。最初は、その菌が入ったヨーグルトを食べることにしました。食べた後にそのまま就寝するのも気持ちが悪いのでやめにして、30錠三千円のタブレットを就寝前に1錠なめることにしました。3~4年は続けたでしょうか。 確かに、何もしないよりは口に含んだ方が良いような感じがしました。 しかし、何回か口腔内の菌の検査をしたのですが、タブレットに含まれている菌が定着していることは確認できませんでした。何万円もつぎ込んだのに、私の常在菌に勝つことはできなかったのです!

シャーレ内で純粋培養された菌に効果があったとしても、色々な人の口腔内の環境で、歯周病菌に効果があるかどうかは分かりません。 今では、歯科医の指示通り、歯間ブラシを使用することと、良く歯を磨くこと、そして薬用洗口液で口の中を殺菌することで、口臭もなく満足する状況が維持できています。結局、虫歯菌や歯周病菌が繁殖しないように、菌の餌を断ち切ることと、殺菌剤で増えないように制御すること、当然と言えば当然ですが、これが一番良い方法であることにたどり着きました。

思い起こせば、15年前にもプロバイオティクスで、嫌な思いをした経験がありました。 長年、毎年冬場になると十二指腸潰瘍の痛みに悩まされていました。 ここでも、ピロリ菌に良いとされるヨーグルトを1年以上も食べ続けたのですが、全く改善されず、結局病院の検査でピロリ菌が見つかり、1週間抗生物質を飲み続けて十二指腸潰瘍の痛みから解放されました。今でも、年に一度、胃カメラを口から入れて検査していますが、胃も十二指腸にも問題はありません。
この様に、過去の経験から、病気の原因となる様な菌に打ち勝つためには、ヨーグルトなどの食品に頼るのではなく、医師の指導のもと、医学や薬の力を借り、殺菌消滅させることが何よりも大切であることを痛感しています。

以上の結果は、あくまでも個人的な自身の経験に基づく考えです。  私も、便秘や腸内環境改善のために、毎朝食時に、ヨーグルトは食べていることを付け加えておきます。