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第41回
「カビ臭」(かび臭)について
弊社に異臭分析の御依頼を頂いた履歴を調べて見ると、「カビ臭」に関する御依頼が400件程度ありました。
「カビ臭」で御依頼が多いのは、食品・飲料・水が多く電気製品や建物に対する事案もございます。
「カビ臭」と言われる様に、カビ・菌が原因で発生します。ただし、カビ・菌が発生すると必ず「カビ臭」が発生する訳ではありません。カビ・菌の種類により代謝によって生成する有機化合物が異なります。臭気を感じる有機化合物が生成すると
「カビ臭」となってしまいます。
また、「カビ臭」を消臭する為に、殺菌・除菌をすればよいとの考えをお持ちの方がおられるかもしれませんが、
殺菌・除菌でカビ・菌は死滅しますが、「カビ臭」の原因である有機化合物は残存する場合が多く、結果的に「カビ臭」を消臭する事は出来ない場合がありますので注意が必要です。
主な「カビ臭」の原因物質を下表に示します。
物質名称 | 臭気の質 | 検出例 |
ジオスミン | 下水の様な臭い | 水、水源 |
2-メチルイソボルネオール | 墨汁や樟脳の様な臭い | 食品、水、建物 |
2,4,6-トリクロロアニソール |
湿っぽいクローゼットや
押入れの臭い |
工場、食品、木材、
パレット
|
2,4,6-トリブロモアニソール |
同上 |
食品、木材、パレット |
食品から「カビ臭」を感じる場合、原因の多くは保管環境(倉庫)や流通過程(コンテナ)からの臭い移りが多く、食肉から「カビ臭」を感じる場合は家畜に与えていた水や餌に「カビ臭」物質が存在し、これが家畜の体内に蓄積されてしまった場合が多い様です。
最後に、「カビ臭」の原因物質は、非常に微量存在するだけで「カビ臭」を感じます。
水の中にどの程度存在すれば臭いを感じはじめるのか?
これは“水中閾値”として示されます。 「カビ臭」の原因物質の各物質の“水中閾値”は、以下の通りです。
ジオスミン ・・・ 0.0001ppm
2-メチルイソボルネオール ・・・ 0.0001ppm
2,4,6-トリクロロアニソール ・・・ 0.000001ppm
2,4,6-トリブロモアニソール ・・・ 0.000001ppm
※コーヒーや緑茶、食品の種類により“閾値”は変化しますが、一般的に香りや味が強い食品の場合は、閾値が高くなります。